フィンランドについて
最近、日本の将来の姿を考えるときのモデルとしてよく引き合いに出されているのが北欧の国「フィンランド」です。
フィンランドは第二次大戦時にはソ連を相手に戦い、敗戦によって多額の賠償金を背負うことになってしまったという近代史を持っています。
しかし戦後にはヘルシンキを中心とした急激な経済復興が起こり、第二次大戦での敗戦国で最も早く賠償金の返還を終えたということで世界中から大きな注目を浴びました。
ところがそのあと1990年代に入ると急激に上昇した景気の跳ね返りを受ける形で一路大不況となり、失業率は20%を超えるという大変な国難に陥りました。
それが現在では(統計データによって若干の差異はあるものの)国際競争力を連続して1位を維持するほどの国力を回復させているのです。
このような敗戦→急激な経済復興→バブルの崩壊というシナリオはそのまま日本の戦後の歴史にかなり当てはまる部分が多く、そこからどのようにして立ち上がり、独自の国力回復策をとっていったかということが日本の研究者から注目を受けているというわけです。
フィンランドの教育システム
戦後のフィンランドの立ち上がりに大きな威力を発揮したのは、なんといっても教育システムの存在です。
フィンランドの教育は現在世界でも最高水準にあるとも言われており、質の高い教育を子供のときから施していくことで、自分の頭で考えながら独自のアイディアを他者と共有しながら出してゆくという人材の育成ができるようなしくみが整えられています。
そのためフィンランドにおいては子供も大人も非常に勉強に対しての意識が高く、就職をしたり結婚をしたりしたあとでもまだ自ら希望して勉強を続けていくことを強く希望する人がかなりの割合になっています。
勉強の目的は転職やキャリアアップのためばかりでなく、自らの教養を高めるための趣味であることもよくあります。
なぜこのように勉強熱心な国民性が根強くなっているかというと、それはフィンランドが小さく弱い国であるということを国民全体が理解しており、自分個人の能力を高めることが国全体を強くしていくという使命感があるからといいます。
目的は違えど、生涯ずっと勉強をしていきたいと願う姿勢はその人本人の生き方を豊かにし、また老後の生活をより豊かなものにしてくれる要素となるものです。
日本においてはリタイア後の生活に旅行や趣味を挙げる人が大半ですが、ぜひとも勉強をして新しい知識や教養を身につけるという方向にも気持を多く向けて行ってもらいたいです。